■妊娠から出産まで
妊娠は男女の性行為によってもたらされます。卵巣から排卵された卵子は卵管内に取り込まれます。このとき、膣内に射精された精子が子宮腔を経て卵管内にまで進入し、卵子と遭遇すると受精が成立します。この受精卵は分裂を繰り返しながら卵管内を下降し、子宮腔に達します。そうして無事、子宮内壁に着床すれば妊娠となります。

ヒトの妊娠期間は約40週(280日)です。妊娠暦では1ヶ月を4週間(28日)で計算しますので、妊娠期間は10ヶ月ということになります。

妊娠が順調に進んで10ヶ月目(妊娠満36週〜39週)に突入すると、胎児の身長は約50cm、体重は約3100gほどになっています。赤ちゃんらしいふっくらした体つきは四頭身になり、20〜40分のサイクルで寝たり起きたりを繰り返しています。出産予定日が近づくと、頭を下にした正常位で骨盤内に固定されるため、胎動をやや感じにくくなりますが、内臓や筋肉・神経系統も十分に発達して、生まれたらすぐに呼吸や体温調節をしたり、ママのおっぱいを飲めるような準備がすべて整っています。いよいよ出産です。

出産は、母子ともに正常なら「経膣分娩」といって赤ちゃんは母体の膣を通って生まれてきます。これが自然分娩です。ただ、狭い膣の中をあの大きな赤ちゃんが通ってくるのですから、その痛みは並大抵ではありません。あまりの痛さから、俗に「障子の桟(さん)が霞んで見えなくなるほど」とも言われています。近年ではラマーズ法による呼吸法や水中出産なども取り入れられて、できるだけ楽に、より自然な形で経膣分娩ができるような工夫も取り入れられています。

なお、経膣分娩では母体か胎児のどちらか(あるいは双方)にリスクが伴う場合は、帝王切開が行われます。例えば、前置胎盤(胎盤が子宮口の一部または全部をふさいだ状態)、常位胎盤早期剥離(赤ちゃんが生まれるよりも前に胎盤が子宮壁から剥離してしまった場合)、児頭骨盤不均衡(母体の骨盤が小さいか赤ちゃんの頭が大きい場合)などでは難産が予想され安全な経膣分娩は望めません。母子の生命を守るために帝王切開が行われます。

妊娠出産は「病気」ではありませんので、通常の正常な出産は健康保険の適用外になります。出産に要した医療費は全額自己負担です。ただし、帝王切開による出産や他の病気を併発している場合には、保険診療つまり病気扱いとなって健康保険が適用されます。